基本は、勉強はやればやるほどできるようになる、という考えで指導をしています。
単語を10個覚えた今日の自分は、それらの単語を知らなかった昨日の自分より成長しています。
でも、入試の残酷なところは、周りに勝てるかどうかであることです。
周りが毎日100個覚える集団であれば、毎日10個では絶対に勝てません。
この場合、理解が早い子、暗記が早い子は圧倒的に有利です。
非常に残酷な話ですが、勉強にはセンスの差が結果となって表れます。
努力の差だけではないのです。
もちろん、センスだけでは勝てないので、努力は必須ですし、努力はセンスより大事ですが、センスがある子が本気で努力したら、センスがない子は追いつけません。
センスがいいな、と思う子たちは、与えられた情報を別の情報と関連づけて理解しています。
「あ、これって、前やったのと同じパターンですよね!」
と、別の内容との関連がすぐ分かるのです。
自分の中でしっくりきているので、忘れにくいです。
こういう子は、1問やれば、類題を10題、20題とやらなくても、同じパターンの問題はすぐ嗅ぎ分けられるので、短い時間で結果を出すことができます。
センスがいい子は、頭の中に、優秀な収納スペースを持っているかのように、きれいに整理整頓して情報を吸収しています。ちゃんと夏服と冬服、靴下、小物、下着の引き出しが決まっていて、どこを見たら何が入っているか分かっているような感じです。
そうでない子は、整理整頓できていない、夏服と冬服がごちゃごちゃに混ざっているタンスをたくさん持っているかのように、知識が整理できないので、1つ1つの知識のつながりも分からないし、人から言われないとつながりに気が付けないし、さらに必要な時に必要な情報が取り出せません。
センスは、生まれつきもあるだろうし、また訓練によるものもあるのだろうと思います。
特に、生まれつきの差もかなりあるのかな、と思います。
同じように努力すれば、同じような効果が出るというのは幻想です。
また、科目によっても違うと思います。
私は、語学はいろんな内容の関連性に気がつくのが早く、新しく始めた言語でもすぐコツが掴めるし、さらに楽しくて何時間でもやっていられますが、数学は、類題でも類題と認識できず、1から10まで教えてもらわないと解けない状況でした。それでも訓練である程度は何とかなるのですが、やはり得意な人には勝てませんね。
おそらく私の頭の中の言語のタンスはきちんと整理されていて、さらに容量が大きいのでしょう。対して数学のタンスは中身がめちゃくちゃだったので、少しずつ時間をかけて整理し直す必要があったのです。
受験では向いている科目ばかりやることはできませんが、向いている科目の配点が高い大学、学部を受けるのは、時間のない受験勉強の中では必要なことかと思います。
つまり、自分のセンスを活かすということです。
苦手を克服することを否定するわけではありません。でも、やってもやってもできない科目は現実あります。2年、3年かけても、5年、6年かけても、要領が掴めないことはあります。
そんな受験生活は辛いものです。しかも、辛さを我慢するだけの勉強では、なかなか他の子には勝てません。楽しんでやっている子のタンスの容量は大きいんです。
国公立大学は、一般的に受験科目が多いですが、全国を見てみると、共通テストや二次試験の科目が少なかったり、苦手科目の配点が低かったり、いろんなパターンがあります。
私立専願にするという手もあります。
自分が少しでも楽しく勉強できる入試科目の配点が高い大学を選ぶのは1つの戦略だと思います。
科目を絞るのは決して妥協でも逃げでもありません。