日本語って不思議な言語です。
英語では、一人称単数は I(アイ)だけです。(主語の場合)
イタリア語は、io (イーオ)、フランス語はje(ジュ)です。
古い言語であるラテン語やギリシャ語では、ego(エゴ)です。
でも日本語は、わたし、わたくし、僕、俺、うち、自分、おら、あたし、わし、わい、おいどん、吾輩、拙者、当方、朕、などなど….
挙げればキリがないほどです。
もちろん、あまり普段は使わないものもありますが。
考えてみたら、二人称単数も多いですよね。
あなた、あんた、君、おまえ、てめえ、貴様とか。
あと日本語らしいな、と思うのは、相手を「あなた」ではなく、名前で呼ぶことです。
「あなたはどう思う?」ではなく、「〇〇ちゃんはどう思う?」というふうに、あたかも三人称であるかのように言います。
店員さんも、「あなた、スカートお似合いですね」とは言わず、「お客様、スカートお似合いですね」と言います。
また、グループ内では、1番年下の人に合わせて一人称を変える傾向があると思います。
うちの実家では、私は弟に対して、「私」とは言わず「お姉ちゃん」と言っていました。
「このたこ焼きはお姉ちゃんのだよ。〇〇くんのじゃないよ」みたいに。
こんな感じで、日本語って、場面や相手との関係で、一人称、あるいは二人称を使い分ける、めちゃくちゃ面白い言語だと思うんです。
使い分けを間違えると、TPOをわきまえていないと見なされます。
最近、一人称で気になるのが、若い女の子の自分のことを名前で呼ぶ傾向ですね。
私が中学生くらいの頃は、例えば「ゆみ」という名前の女の子が、「ゆみ、これ好き〜」とか「ゆみもそう思う」というふうに、「私」を使わずに自分のことを名前で呼んでいたら、イラッとしていたものでした。
「あの子、ぶりっ子だよね」なんて陰口を言われたくらい!!
クラスに20人の女の子がいたら、一人称が名前なのは、まあ2人、3人くらいだったものです。
今は違います。
女の子の一人称名前呼びは普通になっています。
ある時から、塾に来る生徒たちのほぼ全員が、優等生も含め、名前で呼んでいることに気づき始めました。
正直、めちゃくちゃ真面目な優等生が、名前で呼んでいるのを聞いた時はかなり驚きました。
「先生、ゆみにもプリントください」みたいな感じで。
超進学校に通う生徒さんに、何割くらいの女の子が自分を名前で呼んでいるかを聞いたところ、8割は超えているということでした。
結構驚きです。
少子化で、1人1人がより大人から注目されるようになった影響でしょうか?
しかも、男子は相変わらず、一人称名前の子はほとんどいませんよね。
なぜ女の子だけ?
そもそも日本語は、主語によって動詞が活用したりしないし、主語は省略できるし、かなり曖昧な言語。
それで人称もこれだけバラバラ。
かなり高度な技術が必要な言葉だな、と思います。
そう考えると、本当にヨーロッパの言語ははっきりしていてわかりやすいよなぁ…