よく合格体験記なんかには「過去問10年分を解きました」と書いてあったりします。
それで、基礎ができていない時から過去問を解けばいいと勘違いしてしまっている人がいます。気持ちはすごく分かるんですけどね。自分が受けることになる大学の問題は早く解きたいものです。
確かに志望校の過去問は早めに見ておくことにこしたことはありません。問題の傾向やレベルを知ることは必要なことです。
でも、基礎ができていないのにいきなり過去問を勉強のメインにしてしまうと、調べまくってやっと解けるという状態になってしまいます。
もちろん、「調べまくってもやり方を覚えればいい」と言う考え方もあるでしょう。
でも、演習は、今まで勉強したことのどの知識をどのように組み合わせて解くのかを考えることに意味があるのです。
例えば基礎単語が頭に入っていない人は、基礎単語だろうが難単語だろうが調べまくってやっと解答を作ります。
きちんと覚えるべき単語が頭に入っている人は、自分が知らない難しい単語は他の受験生も知らないということが分かっているし、「周りからだいたいの内容を推測すればいいんだな」とか「正確には分からないけれど、解答には直接関係ないからそこまで気にしなくてもいいな」とか戦略を練りながら解くことができます。
分からない単語だらけだと、解答を作る上での自分の弱点を炙り出すことは効率良くできません。
受験生の中には、過去問演習がすごく身になっているな、と思う人とそうでない人がいます。
その差は、揺るぎない基礎ができているかどうか。
基礎とは簡単な問題のことを指すわけではないことは皆さんお分かりだと思います。
志望校のレベルにもよりますが、高2のうち、遅くとも高3の夏までには基礎を固めておくと、演習が生きてきます!
ちなみに私は、今でこそ過去問演習を皆さんに勧めていて、場合によっては20年分くらい解いてもらいますが、自分自身は受験生時代に受験校の過去問は数年分しか解かず、後はパラパラと傾向を見ただけでした。
もちろん、過去問を解く方が良かったとは思いますが、当時の私は、どんな問題が出ても余裕で解ける英語力をつけようと思っていて、暗記作業を継続し、NHKラジオ講座のリピート練習をしたり、さらにオーディオブックの音読を繰り返したり、英語ニュースを聞いたりしていました。(そもそも、「音声こそ語学の全て」という考えは当時から出来上がっていたので、読み上げてくれなくて暗記に使いにくい過去問はあまり好きではありませんでした)
結果、受けた大学は全て受かったので、戦略としては間違えていなかったと思います。
基礎ができてない人の中には、「受ける大学全ての過去問それぞれ10年分解きました」と豪語しながら全落ちする人も結構います。
なぜなら、単に解き方を暗記しているだけで、同じ問題でなければ解けない状態になっているからです。
また、過去問はあくまでこれまでの傾向であり、レベル、形式ともにある時ガラッと変わることがあります。だから、あくまで基礎力の充実と臨機応変に対応する力をつけておくことが大切です。