こんにちは!
高校生の生徒さんで、短期間で英検2級、準1級に合格した人たちは旺文社の「文で覚える単熟語」をしっかり使い込んでくれていました。
結局、単語帳は、自分が好きなものであれば何でも良いと思います。ただ、「文単」は、他の単語帳に比べて、きちんと使い込めばかなり効果が高いことを、生徒さんを見ていても感じています。その理由をまとめました。
そもそも英検は、大問1の語彙問題は正解が半分なくても受かることが多い!
これは、生徒さんや私自身の経験からも言えることですが、英検は、大問1が1番語彙レベルが高いです。よく皆さんが英検対策に使う旺文社の「出る順パス単」ですが、長文に出てくる単語ももちろん含まれていますが、どちらかというと、大問1対策と考えた方が良いと思います。英検は、大問2以降の長文問題は、そこまで語彙レベルは高くないのです。
「パス単」は英検3級、準2級、2級までなら、まだまだ、よく使われる標準レベルの単語ばかり掲載されているので、長文にもどんどん出てきますが、「パス単」準1級や1級に掲載されている単語は、覚えたからといって、長文に含まれている可能性は低いです。
そこで、生徒さんでも、準1級に合格したけれど、大問1は半分なかったり、ギリギリ半分だったり、という状態でも、大問2以降の長文問題でしっかり得点できていた、というケースがよく見られるのです。
つまり、語彙力がそこそこでも、長文問題を攻略すれば、リーディングは十分合格点に達するということですね。そこで「文単」の出番というわけです。
「文単」に掲載されている長文は英検レベル
「文で覚える単熟語」は、その名の通り、文を読みながら英単語、英熟語を覚えていくことができます。
「パス単」は、英単語が出る順にひたすら並んでいる形式の単語帳です。それで、上から順番に覚えていける人はいいと思いますが、なかなか単純暗記ができない人も多いと思います。
そういう人には、長文を実際に読みながら、文脈で覚えていくことをおすすめします。ストーリーがあった方が、英単語は頭に残りやすいと思います。
特に1級や準1級は、「パス単」に比べて、「文単」は、単語の難易度は低いです。カバー率で言えば、「パス単」の方が高いのは言うまでもありません。
でも、先ほど説明したように、大問2以降の長文問題は、そもそもそこまで難しい単語は出ていないので、長文対策だけを考えると「文単」でも十分なのです。
「文単」の長文は、英検本番のレベルです。3訂版は一部過去問も掲載されています。つまり、読み進めていくだけで、本番レベルの長文に慣れることができるのです。
もちろん、対策する時間がたっぷりある場合、大問1対策もしっかりするにこしたことはないので、「パス単」も使うといいと思いますが、時間があまりなく、できるだけ早く合格点に到達したいのであれば、「文単」をやりこむとよいと思います。結局、単語だけをたくさん覚えていくだけでは、英語の総合的な力は身につかないので、遠回りに見えても、地道に英文を読んでいく方が結局近道なのです。
「文単」はトピックがおもしろく飽きない
これが一番いいところではないでしょうか。
「パス単」のような羅列型の単語帳って、退屈してしまいます。というか、かなり忍耐も必要ですよね。
私は、文単は、準2級から1級まで持っていますが、準2級でも十分トピックは面白く、読みごたえがあると思います。英検を受けなくても、英語に苦手意識を持っていて、これから英文に慣れていきたい人にもおすすめです。
テーマは、
準2級 「学校・教育」、「仕事・生活」、「食事・買い物」、「余暇・スポーツ」、「身体・医療」「社会・出来事」、「文化・科学」、「生物・環境」、「リスニング(会話文)」、「リスニング(パッセージ)」
2級 「環境・資源」、「科学・技術」、「自然・動植物」、「身体・健康・医療」、「ビジネス・経済」、「社会・ニュース」、「歴史・文化」、「リスニング(会話)」、「リスニング(一般文)」
準1級 「自然・環境」、「医療・テクノロジー」、「文化・歴史」、「教育・心理」、「社会・ビジネス」
1級 「歴史・文化」、「社会・経済」、「科学・技術」、「環境・食糧」、「医学・心理」
となっています。
だんだん難しいテーマになっていますね。
自分の興味のあるテーマから手を付けていくといいと思います。
教養も身につくので、似たようなトピックの長文問題に出会ったときに、「ラッキー!!」と感じることもありますよ。
また、しっかり何度も読み込むと、文章中に出てきた表現を自然に覚えることができるので、英作文のネタとして使えるというメリットもあります。
音声がかなり使える
ダウンロードできる音声は、長文を読み上げたものですが、これが、リーディングとリスニング両方の力をつけるのにとても良いのです。
まず、音声があると、音読がはかどります。「この単語はどうやって読むんだろう」なんて考えなくてよくなりますし、できるだけ音声のスピードに合わせて読もうとすることで、速読力が身に付きます。
英検本番では、リスニングは、長文よりも簡単な文が流れます。でも、長文レベルの音声が聞き取れるようになっておくと、本番のリスニングはかなり余裕をもって聞けると思います。
暇なときに、他の作業をしながらでいいので、聞き流しをするのがおすすめです。聞いたままが理解できるようになってきます。
「文単」準1級と1級には、アメリカ英語とイギリス英語の両方が収録されていて、両方の音に慣れることができます。英語の資格試験や、大学入学共通テストのリスニングは、アメリカ英語以外の英語も流れてくるので、慣れておく方が良いでしょう。
「文単」は、こういう人には向いていない。
これだけ優秀な「文単」ですが、実は向いていない人もいます。
- 大問1の語彙問題の対策をしたい人
- 直前期に詰め込みをしたい人
- 「文単」に掲載されている長文の見出し語以外の単語で分からないものが多すぎる人
残念ながら、「文単」は長文、リスニング対策向きの単語帳なので、大問1対策として、あまり使えないです。大問1の正答率を上げたいなら、「パス単」の方がいいです。
また、直前期の詰め込みには、あまり向いていないと思います。しっかり読み、音読をし、音声を何度も聞いていくことで力がついていきます。詰め込みなら「パス単」をおすすめします。
最後に、あまりにも文の中の単語がわからない状態だと、そもそも時間がかかりすぎますし、モチベーションも下がっていくと思います。その場合は、基礎的な単語をまず頭に入れてしまうか、目標としている級より下の級の「文単」から始めてもいいと思います。
【2022年7月追記】3訂版を持っている人は4訂版を買いなおすべき??
2022年7月に改訂版(4訂版)が出ました。こちらはCDではなく、音声ダウンロードになっています。
「文単準1級」の改訂版(4訂版)を買ってみたので、3訂版と比較して気づいたことを書きたいと思います。
まず、CDがなくなり、音声ダウンロードだけになっています。ダウンロードしてみましたが、本文と見出し語が全て収録されています。
3訂版は、CDは本文のみで、見出し語はダウンロードだったので、4訂版の方が楽ですね。
本文の音声は、気のせいかもしれませんが、少しゆっくりになったかな〜という感じでした。文単の準1級のCDは聞き取りが難しい、という生徒さんが結構いたので、ちょうど良いかもしれません。
また、3訂版は各長文の音声の前に、日本語で軽い説明がありましたが、4訂版はありません。
ヒントなしでリスニングする訓練になりますね。
もちろん3訂版と同じように、アメリカ英語とイギリス英語のどちらも聞けます。
本文はほとんど変わっていませんでした。
テーマは、「自然・環境」「医療・テクノロジー」「文化・歴史」「教育・心理」「社会・ビジネス」の5つで、各テーマ16の長文が掲載されていますが、16のうち、3つから5つくらいしか変わっていません。
ただ、もともとある長文でも、少し言い回しが変わっている部分があります。また、音声は全て録り直しています。
新しく加えられた長文には、「スマートフォンは私たちの生活をどのように変えたか」、「デジタルノマドとして働く」、「ソーシャルメディアとフェイクニュース」のようなインターネット関係のものや、宇宙ビジネスなんかがありました。
3訂版と大きく違っているわけではないので、わざわざ買い直す必要はなさそうです。
CDをあまり使わないので、スマホやパソコンで音声を聞きたい人、新しい話題に触れたい人には4訂版をおすすめします!