お子さんの学校の成績が悪いと、やはり親御さんは心配だと思います。
「何でこんな点数を取って本人は何とも思わないんだろう。まずいと思わないんだろうか」
と、お子さんとの温度差に悩む気持ちはすごく分かります。
ただ、残念ながら、成績が悪くても、全く気にならない子って結構多いんですよね。
普通です。
私もそうでしたから、よくわかります。
昔の私も、テストで20点だろうが30点だろうが全く気にならなかったものです。
点数が悪くても気にならない子って、勉強ができない自分がダメだなんて思ってもいないし、勉強ができる人に憧れてもいないのです。
「点数が良かろうが悪かろうが、私の人生には何の影響もない。」
私は当時本気でそう思っていました。
うちの両親は教育熱心ではなく、そのことで特に怒られるということもなかったですが、もし怒られていたとしても、勉強はしなかっただろうと思います。
だって、自分に何のメリットもないつまらない勉強に時間を「浪費」するくらいなら、遊びに行った方がマシだと本気で思っていたからです。
人間って、メリットがなければ自分からは動かないものです。
全国トップレベルの落ちこぼれの私が、ちょっとずつ勉強するようになったのは、
「クラスの賢い人と友達になりたい」
「やってみると意外に勉強は楽しい」
という理由からでした。
決して、先生や親に言われたからではありません。心の底から湧いてきた感情です。
結局、自分の中に理由ができなければ、勉強なんてやらないのが当たり前なのです。
「成績が悪いのはまずいこと」なんて、単なる大人の価値観に過ぎませんから。
塾で働いていたときは、勉強のやる気がなくて、ただ、親に引っ張られて無理やり入塾させられる子がたくさんいました。
今の私なら、入塾は断るレベルですが、昔は雇われの身でしたので、全て受け入れていました。
やる気が全くない子を相手にする経験は、当時はしんどかったですが、今思えば非常に勉強になりました。
子供は、無理やりやらされてもやらないし、机に無理やり座らせて勉強させても結果は知れているということ。
勉強時間を増やせば良いという単純なものではないからです。
さらに、周りが大人の価値観を押し付ければ押し付けるほど反発して、下手したら信頼もなくなり、本当に全く勉強しなくなってしまうこと。
それを実感することになりました。
子供に勉強させたいなら、焦らずゆっくり、勉強の大切さを実感させるしかないと思います。
説得するのではなく、話を聞いていくと、「勉強しないと」と思うようになる子は少なからずいます。
本人が、目先の目標であれ、大学や仕事という将来の目標であれ、自分の心から求めていることに勉強が必要であると分かれば、自然とやるようになるものです。
私からすると、学校のテストが悪くて「まずい」と思う子はかなり優秀です。私の基準からすると、学校のテストが悪いことなんて、子供にとっては何のダメージもありません。
周りの大人は、種を撒きながら待つしかないんです。
また、悪いことばかりを叱るより、出来たことを褒めた方が、結局良い結果になると思います。
私は、20点や30点ばかり取っていたのですが、60点くらいになった時、親に褒められました。親は本当に嬉しそうでした。
「平均点より低い」
「まだ40点分間違えている」
もし仮に、そんなことを言われていたら、私は勉強を続けなかったでしょう。水を差す行為は、大人が思っている以上に罪深いものです。
「60点でこんなに喜んでくれるなら、いつか、100点の答案を見せてあげよう!」
だんだん私の心に火がつきました。
親のために勉強していたわけではないけれど、親が喜ぶ顔は見たいものですからね。
口先だけで良いから、出来たことを褒めてあげる。それだけで、子供って調子に乗って勉強するようになるものです。
いろんな子を見てきてそう思います。
厳しい言葉をかけるのは、自分で高い目標を掲げているにもかかわらず、それに見合う努力をしていない子に対してです。
「東大に行きたい!」と言いながら、「1日1時間しか勉強していない」と言われたら、さすがに現実的な厳しい言葉をかけます。
でも、そもそも目標が定まっていない、勉強する意味が見いだせていない子に対して、「勉強するべき」という大人の価値観を押し付けて厳しく接しても、結果は出ないと思います。